日々詩書肆室フィナーレ、そしてブックハウスへ

こんにちは。

ひびうたにて本屋や図書館の管理運営を担当している村田(イモコ)です。

現在、11月16日㈯のブックハウスひびうたリニューアルオープンに向けて、鋭意準備中です。

 

先週末の土日、前身の本屋である「日々詩書肆室」として最後の出店に行ってまいりました。

11月9日㈯には、奈良県立図書情報館にて行われたブックマーケット+しおりのマーケットに参加しました。

初めて奈良県で出店させていただいたイベントは、2022年に奈良コンベンションセンターにて開催されたGIVE ME BOOKS!でした。あの頃は奈良まで自分で運転していくなんて考えられず、ぐちゃぐちゃに梱包した荷物を郵送で奈良まで送って主催者の人に迷惑をかけていたのですが、今回は軽自動車いっぱいに荷物を積み込んで、名阪国道をひた走りました。

GIVE ME BOOKS!に出店させていただいた頃は、ほとんど出店の経験がなく、準備も間に合わず、散々な有様だったと思います。しかし、主催者の方や他の出店者のみなさんは、嫌な顔一つせず、親切にサポートしてくださいました。あのイベントに集まったみなさんのあたたかさに感動して、奈良が大好きになりました。イベント出店を続けることができているのは、あの時の経験が自分を支えてくれているからだと思います。

その頃に出会った人がいまだにこうしてイベント開催の際にお誘いくださったり、会場で出会うと親しく声をかけてくださったりします。本当にうれしく、ありがたいです。ブックハウスひびうたに転換してからも奈良の仲間やお客様との関係を続けていきたいです。

 

11月10日㈰には、三重県立図書館移転開業30周年記念イベントである「くらしを彩る本まつり」にて、三重県まちの古本屋さん協会の一員として、古本市に出店してきました。

三重県まちの古本屋さん協会(通称:まち古協)は、県内で開業している9店舗の古本屋さんが2021年に結成したチームです。2022年より毎年、津市久居アルスプラザにて、県内屈指の古本市「ホンツヅキ三重」を開催してきました。

各店舗、いつ行っても欲しい本の見つからないことはない、古本界のアベンジャーズのようなみなさんです。きら星のようなメンバーとともに、私もその一員として活動してきました。

とはいえ、百戦錬磨のツワモノの中に、覚えの悪い、不器用な、うっかり八兵衛も脱帽するくらい抜けている素人が一人紛れているので、みなさんには計り知れないご迷惑をおかけしてきたと思います。

それでもやはり、みなさんは足手まといの自分を決して見捨てず、何をやらかしても親切に助けてくださいました。

今年はまち古協のみなさんと出店する機会が多く、そのたびにメンバーのみなさんのブースの美しさ、颯爽とはたらくみなさんのカッコよさを目にしてきました。そのような姿を目にする度に、自分もこの人たちに近づきたい、少なくとも、少しでも成長している姿を見ていただければ、との思いが強くなります。

まだまだみなさんのようにビシっとは決まりませんが、設営、本の並べ方など、少しずつ学んでいるところです。今回の出店では、いつもより本を手にとっていただける機会が増えたような気がします。一歩前進したような手ごたえを感じることができたことはとても嬉しかったです。

 

今回の出店では、今年の8月から本屋・図書館部門で働いてくれている、就労継続支援の利用者さんと一緒にイベントに参加しました。

2カ月前に津市の百貨店・松菱で開催された古本市で一緒に店番に入ったときには、お客さんの前に出る仕事は初めてなので緊張する、と言っていた利用者さんが、今回のイベントでは大活躍。ひっきりなしにお客さんが訪れるレジ当番を見事にこなしていました。空いている時間も、自らできることを探して、イベントをスムーズに進める手助けをしてくれました。

退勤時にはまち古協のみなさんから拍手で送られた利用者さん。本人にこの日の感想を聞いてみると、「とても楽しかったです!」と最高の笑顔を見せてくれました。

たくさんのお客さんが来てくださったこと、変わらないまち古協のみなさんのプロの姿勢を目近に見ることができたことなど、この日嬉しいことはたくさんありましたが、利用者さんの活躍を見ることができたのが、もっとも幸せなことだったと思います。

 

このように、2023年4月から続けてきた「日々詩書肆室」としての活動は、最高のフィナーレを迎えることができました。これまで辛抱強く支えてくださった仲間のおかげに他なりません。みなさん、本当にありがとうございました。

 

今週末、11月16日㈯から、いよいよ「ブックハウスひびうた」としての活動が始まります。

ブックハウスひびうたは、コミュニティハウスひびうたの2階にて営業します。

「こころをうたう古本屋」として、主に「詩」の本を取り扱っていく予定です。

「ひびうた」を漢字で書くと、「日々詩」。日々、詩を口ずさむように生きたいとの思いが込められたこの名前を、体現できるような本屋をつくることができればと思います。

人びとが日々を暮らす中で生まれる喜びや怒り、悲しみをことばで包み、かたちを整えたものが「詩」だと思います。これまで詩人と呼ばれる人たちが書いてきた詩の中には、自分の中に渦巻いている気持ちを、「そうだったのか!」と驚くほどふさわしい言葉であらわしてくれているものがあります。

行き場のない気持ちによりそってくれる友となる詩、また、名前のつけられない気持ちを、「こういう表し方もあるんだよ」と教えてくれるような詩、そんな詩に、ブックハウスひびうたで出会っていただければ嬉しいです。

 

オープン日の11月16日㈯~17日㈰には、店舗1階のコミュニティハウスひびうたにて、「ひびフェス2024」を開催しています。

16日㈯10時~15時のひびうたマルシェでは、「旅と詩と野の教え」を掲げて鎌倉市を拠点に活動する出版社サウダージ・ブックスさんが出店してくださいます!最新刊の詩集をはじめ、詩的な本にたくさん触れる機会ですので、どうぞお越しください。ブックハウスひびうたも、隣で詩の本を販売する予定です。

 

ひびうた音楽隊によるライブ、ひびうた食堂による夜ご飯会等を経て、19時~21時には、2階ブックハウスひびうたにて、キャンドルナイトと詩の朗読会を行います。ブックハウスでは、16-17の2日間、ひびうたに集まる人たちが寄せてくださった、「さみしさのむこうに」をテーマとした詩の展示会を開催しています。朗読会では、みなさんから寄せられた詩とともに、居場所に集まる仲間の言葉を集めてつくった合作詩、「さみしさのむこうに」も朗読します。

 

さらに11/17㈰14時~16時は、サウダージ・ブックス編集者のアサノタカオさんに、「さみしさの向こうの詩人たち」というテーマでお話をしていただきます。アサノさんの近著『小さな声の島』で紹介された詩人たちについて、「さみしさ」という軸のもと語っていただきます。まだまだお席がございますので、ぜひお問い合わせいただけますと幸いです。イベントについて詳細はこちらをご覧ください

 

フィナーレの11/17㈰17時~19時は、アサノさんと2021年から続けている自主読書ゼミ「やわらかくひろげる」の新シーズン、石牟礼道子さんの『苦海浄土』を読む会のキックオフです。水俣病の舞台となった熊本県水俣にて、患者の苦しみを目の当たりにしてきた石牟礼さんによる魂の記録文学。この機会に、みんなで読むことができれば幸いです。

イベント詳細はこちらをご覧ください

 

来てくださったみなさんと、「詩」を感じられる2日間になれば嬉しいです。

よろしくお願いします。

 

ブックハウスひびうた 村田奈穂