ゴースト・イン・ザ・プリズム 試し読み

――カタン。

 しん、と静まり返った夏の夜のこと。かすかな物音に、わたしは目を覚ました。

(外から聞こえたのかな……?)

 わたしの家は、大きな幹線道路沿いにある。そのせいで、なにげなく視線をやった窓のむこうは夜でもほの明るい―道路を走る自動運転のトラックの無数のヘッドライトが、白い光で闇を照らしているから。

 「地球」とは違って、この星に暮らす人々は自家用車を持てない規則になっている。かぎられたエネルギー資源を有効活用するためだ。無人の輸送トラックは音もなくなめらかに走る。たとえ道路沿いに住んでいようとも、意識しなければその存在を忘れてしまうほど。

 先ほどの音は、風のいたずらだったのだろう。そう思って寝直そうとバスタオルを丸めた枕に顔をうずめた、その瞬間。

――コン。

 ベランダの窓に、なにかがぶつかる音がした。

 コン、コン。

 こぶしで軽く、たたくような音。幻聴でないことを証明するように、窓ガラスをたたく音はいちどでは終わらず、夜の静寂の中から確かに聞こえてくる。

 ぎゅっと枕を抱えて、わたしは息をひそめる。

(……だれかが、ベランダにいる?)

 ここは団地の一角にある、三階建てのたてもの。わたしがママとパパ、そして妹のミナと一緒に暮らすフロアは最上階なので、だれかがベランダからたずねてくるなんて、「ふつう」じゃ到底ありえない話だった。

 となりの家のベランダから柵を乗りこえてくるか、―もしくは、蜘蛛さながら壁づたいにのぼってこないかぎりは。

(もしかして、泥棒、とか……?)

 わたしの体は硬直して、危険を察知していても動き出せないでいる。それに、助けを求めようにも、パパは夜勤で家にいない日だ。マットレスの横に置いた携帯端末も運悪く電池切れ。

 でも、これから盗みを働く泥棒が律義に窓をノックするなんてこと、ありえるんだろうか? そもそも、無人の家をねらって盗んだほうが、効率的じゃない?もっと別の目的があるってこと? おそろしい想像にとらわれそうになったとき、突然、わたしはひらめいた。

――この不可解な状況をときあかす、たったひとつの「答え」を。

 つまり、この常識外れの時間に、常識外れの場所からたずねてきても不思議じゃない、そんな人物に心当たりがあるってこと。

 タオルケットを足でけり飛ばして、ベランダの窓に目を向ける。

 外からの明かりのせいで、カーテンはうっすらと発光してみえた。

「……アン?」

 わたしの声に反応して、そのカーテンのむこうでなにかが、揺れた。

(……やっぱり―!)

 ふわっと気持ちが浮き立って、わたしは弾む胸を押さえた。

――アンは、毎年夏になるとこの家にやってくるおばさんだ。

 わたしの知るかぎり、アン以上に「すごい」人はこの世に存在しない。

 ……いろんな意味で。

 去年の夏のできごとなんか、わたしの中ではちょっとした伝説だ。前の晩にアンから届いた『朝の九時、広場で』というメッセージに首をかしげつつも言われた通りに広場で待っていたら―空から突然、パラシュートでアンが降りてきたときの衝撃といったら!

 あのときは団地の管理人さんがカンカンに怒っちゃって大変だった。でも、当のアンといえばどこ吹く風という感じで、こうまで言い出す始末だった。

『アンタたちの退屈な生活にちょっとした刺激を加えてあげただけでしょ? なにが悪いっていうの?』

 管理人さんは当然もっと怒っちゃって、大変だった。パパとママがとりなしてくれたおかげで、かろうじて出禁だけはまぬがれたけれど。

 明るくて、個性的で、いつだって予想外―それがアン。

 わたしの大好きなひと。

「アン、なんだよね?」

 もう一度、窓に向かって、わたしは呼びかけた。

 するとまたカーテンが揺れて、窓のむこうでなにかが動いた。

 ゆらり、と踊るように動いたのは―ヒトの影!

――やっぱり、アンだ!

 わたしは床に置いたマットレスからはじかれたように駆け出して、カーテンをよけると勢いよく窓を開いた。

 むわっと湿った夏の空気が肌にふれる。

 はだしのままベランダに降りると、足裏にざらざらとした床の感触が伝わってくる。ざわざわと、周囲の植栽が揺れる音が聞こえる。

「アン、そこにいるのはわかってるよ。いい加減、出てきたら?」

 どきどきと高鳴る胸を押さえて、わたしは狭いベランダぐるりと見回して―、

「あれ……?」

 コテンと首をかしげた。

 二度、三度とベランダをすみずみまで見回して、左右のベランダまでのぞいてみるけれど、――だれも、いなかった。

 いつもだったら、「サプライズ!」とでも言いながら、わたしの目の前に現れるはずなのに。予想に反して、待てど暮らせどアンは現れなかった。

 ベランダの手すりを握りしめて、無人トラックが音もなく往復する幹線道路を眼下におさめる。

 薄闇の中、輸送トラックはアリの行列のように規則正しく、流れる川のように切れ目なく走り続けている。

 

 頭上に浮かぶふたつの月は冷たい鈍色に輝き、ひとりぼっちのわたしを見下ろしていた。

第一章

 

 

   1

 

 ブンブンと音を鳴らして、なにかが飛んでいる。はらいのけようとした手が、コツン、とそのなにかに当たった。虫にしては硬いし、冷たいし、大きい?

「――ちょっとちょっと、あたしを壊すつもり!? せっかく起こしにきてあげたのに!」

 寝起きの頭にキンキンと鳴り響く、その声――うっすら目をひらいたわたしの視界に飛びこんできたのは、銀色にぼやける飛行物体だ。

 その物体の真正面で、一対の目が青白く発光する。

「まぶし……」

 まばたきをくり返すうちに、視界もクリアになる。わたしの目の前を飛んでいるのは、ハチドリの姿をしたロボットだった。

「……おはよう、ミナ」

「おはよう、ジュン!」

 原寸大の小型ロボットから発せられるのは、今日も聞き慣れた妹の声である。そう、このロボットは妹のミナ――正確に言うと、別のドームに暮らすミナが遠隔で操作している「分身ロボット」だ。

「でっかいあくび!」

 生あくびをこぼしたわたしへのツッコミも慣れたもの。ドーム間をつなぐネットワークを通じて、ミナの操作や発声、そしてロボットの視界や聞こえてくる音といった知覚情報が、タイムラグなく共有されているからだ。実際は何百キロも離れた場所にいるミナが、毎朝こうしてわたしを起こしにこられるのは、情報処理基盤が発展したおかげってわけ、とアンも言っていたっけ。

 ミナがひょいっとわたしの肩に乗ったかと思うと、くちばしの先でスウェットのえりをぐいぐいとひっぱる。

「ちょっとちょっと」

「ジュンがいつまでも布団から出ないから! さっさとその寝癖をどうにかして、朝ごはんを食べにダイニングに来て! 今日はパパもいるんだから!」

「あれ? 今日水曜日だっけ?」

 質問したときにはもう、ミナはドアのむこうに消えていて。あいかわらずせっかちな性格だ。ため息をこぼして、寝間着代わりのスウェットを脱ぐ。

 きっちりたたんでから、寝る前に枕元に置いておいたパーカーとハーフパンツを手にとった。どっちも裏返しになっていることを確認してから着替えた。縫い目やタグが肌にふれるとチクチクと痛くなるので、これはとても重要な確認だ。

 部屋を出る前に、棚の上に置いたデジタル時計を見ると、午前八時十一分だった。曜日は―水曜日じゃない。火曜日だ。

(パパ、今日は仕事休みなのかな)

 パパの定休日は水曜日だ。ふだんはいない日にパパがいるって、不思議な感じだ。ちょっとだけ、イヤな予感もするけど……いま考えてもしかたがないことだろう。

(あれ……?)

 時計を置いた棚に違和感があるような気がして、じっと観察する。原因はすぐにわかった―時計の位置がちょっとだけずれているのだ。棚板の真ん中に置いているはずが、数ミリほど右に寄っていた。気がついてしまったら、直さずにはいられないのがわたしの性分だ。そっと手を伸ばして、時計の位置を微調整する。

 満足して、今度こそ部屋を出ようとして―また、違和感が喉に詰まった。

 大量の砂をかんで、飲みこもうとしているような違和感の正体は、時計の位置よりずっと明白だ。

 わたしの部屋のドア横にはクローゼットがある。両開きのクローゼットの扉には、新品同然の制服がハンガーにかかった状態で放置されていた。

 何度クローゼットの奥にしまいこんでも、制服は気がつかないうちに外に出されている。わたしがその気になったらいつでもそでを通せるようにと、パパいわく、「気を遣って」やっていることらしい。パパとのイタチごっこに飽きて、最近はもう、出しっぱなしにするようにしている。だから部屋を出るたびに、わたしはなんともいえない違和感をやりすごす必要があった。

  洗面所で顔を洗って、ミナに言われた通りダイニングに行く。

「おはよう、ジュン」

 キッチンのカウンターからパパが顔を出した。

「……おはよう、パパ。今日は、仕事じゃないんだね」

「シフトを変更してもらったんだ。今日はこのあと仕事に出かけるから」

 そうなんだ、とわたしはうなずく。どうしてシフトが変更になったんだろう。

 パパはわたしたちが暮らすこの街をすっぽりと覆う、巨大なドームの周辺を警備する仕事をしている。夜勤中心の仕事で、一週間の大半は夕方に出かけて翌朝に帰宅する。昼間はだいたい寝ているので、ふつうに生活していたらほとんど顔を合わせる機会がない。制服のこともそうだし、正直、わたしはパパが苦手だった。

「ジュン、おはよう」

 ママが奥の部屋から出てきた。

「おはよう、ママ」

 ママは車椅子をいつもの位置にとめた。テーブルを挟んで、ママの正面にわたしも座る。

 なんだか落ち着かずに、そわそわとテーブルの下で左手首のリストバンドを弾く。パチン、パチンと肌を走る軽い刺激に、すこし心の平穏をとりもどす。

 ママを起こしに行っていたらしいミナも遅れて部屋の奥から飛んできて、わたしの肩に乗った。そしてこうささやきかけてくる。「なんだと思う?」って。

――ミナも、いまこの部屋に満ちる緊張を感じ取っているらしい。

 しらない、とわたしは黙って首を振った。

「ほらほら、朝ごはんにしよう。運ぶのを手伝ってくれるか?」

 ついに、パパがキッチンから出てきた。テーブルに朝食を並べるのを手伝いながら、わたしはコッソリ顔を引きつらせた。

 今日の朝食メニューは、目玉焼きと培養肉のベーコン、ちょっとしたサラダ、きわめつけにはバターをたっぷり塗ったトーストだ。牛乳もついている。

 ごくごくフツーの、ママいわく「完ぺき」な朝ごはんだ。でもわたしにとって、これはモンスターの群れと同じ。

 席について、みんなで一緒に「いただきます」をする。パパの無言の視線を感じながら、しぶしぶわたしは目の前のトーストに手を伸ばした。

 ガリッ。

 あわてて牛乳を飲んで、はき出すことだけはかろうじて回避する。

 こんがり焼いたトーストが苦手だ。歯でくだくときの音が頭に、感触が歯や顔の骨にビリビリと響くから。

 次にとりかかったのは、サラダだ。フォークの先を使って、ドレッシングのかかっていないレタスの端切れを底のほうから発掘する。

 ドレッシングが嫌いだ。味が濃くて、舌が痛くなるから。

 最大の難関は、ベーコンと目玉焼きだ。さあどう攻略しようかと、毎回頭を悩ませるはめになる。経験上、ちいさく切って、かまずに飲みこむのがいちばん「苦痛がすくない」とわかっているけど―。

「ジュン、残さずに食べるんだぞ。おまえの好き嫌いは、アレルギーでもないし、ただのワガママなんだ。そんなんじゃ、すぐ栄養失調になるぞ」

 ナイフとフォークを手に固まるわたしに、パパが声をかける。わたしはうつむいたまま目線だけを前に向けて、「……うん」とちいさな声で答えた。

 必要な栄養はサプリでもとれるのになあ、と内心ため息をつきながらベーコンをちいさくちいさく切り刻んでいると、

「ジュンは食べながらでいいから、聞いてくれるか?」

 突然、パパがそんなことを言った。―いつもより、ずっと神妙な声で。

「実は、アンおばさんのことなんだ」

 ナイフを動かす手を止めて、わたしは弾かれたように顔を上げた。

「いまから、とても大事な話をする。ジュンもミナも、よく聞いてほしい」

――なにか、変だ。

 この時期は毎年、遠方に住むアンがやってきて一週間くらい家に滞在する。だからその話かと思ったけれど、それにしては、ママもパパも、なんだか様子がおかしかった。

「どういうこと、ジュン?」

「そんなの……わからないよ」

 ミナと顔を見合わせて、小声で会話を交わす。わたしたちが不安がっているのは、ママはもちろん、パパでさえ、アンの話となると思わず笑顔になるからだ。

 そのふたりが、いまは怖いくらい真剣な顔つきをしている。

「やっぱり、去年のパラシュート事件でしょ」

「でも、管理人さんも許してくれたし――」

 わたしたちの会話をさえぎって、おもむろにパパが口を開いた。

「……アンおばさんは、ここ二年くらい病気をしていたんだ」

「「病気?」」

 想像だにしていなかった単語に、わたしとミナの声が重なった。

「アン、前に会ったときはすっごく元気そうだったけど」

 ミナの返しに、うんうん、とわたしもうなずく。アンはいつだって元気はつらつで、体調が悪いところなんていちども見たことがない。

 そうね、とそれまで黙っていたママが答える。その目尻でキラリとなにかが光ったことに、わたしは気がついた。

――涙?

 ……どくん、と心臓が跳ねた。

「いいか、ジュン、ミナ」

 深刻なパパの声に、全身に緊張が走った。

「――イヤだ、聞きたくない」

「あっ、あたしは聞きたい! 教えて、パパ。アンはどうしたの?」

 姉妹でも、わたしとミナの反応は対照的だった。好奇心旺盛で、物怖じしない性格のミナ。そして、どちらかと言えば臆病で、神経質なわたし。

「ジュンにも、ちゃんと聞いてほしい」

 この瞬間、わたしがすべきだったのは、黙ってこの場を去ることだった。でも、そんな簡単なことも思いつかないくらい、このときのわたしは動揺していた。パソコンをシャットダウンしたように、思考も肉体も完全に停止してしまった。

 だから、パパの口から告げられる「真実」からも、逃げ出すことができなかった。

「アンおばさんが、ナクナッタ」

――ナクナッタ?

 最初、パパの言葉は、知らない国の言葉のように聞こえた。

 頭の中で何度も「ナクナッタ」という声がリフレインする。ナクナッタ、ナクナッタ、ナクナッタ……。突然意味の回路がつながった。

(亡くなった……)

 気がついた瞬間には、わたしは両手をテーブルにたたきつけていた。

「うそ!」

 反射的に喉の奥から飛び出た声と、その大きさに、パパとママは目を丸くした。

「うそだよね? だってわたし、夜中にベランダでアンに会ったもん!」

 パパはじっとわたしの目を見返して、ハーッと大きくため息をもらした。まるで、「またジュンが理解不能なことを言っている」とでもいうように。

 パパのあきれた表情とため息に、ズキリ、と胸が鈍く痛む。パパはすぐに表情をとりつくろうと、優しい声でこう答えた。

「きっと、夢の中でジュンに会いに来てくれたんだろうな。アンおばさんは、いつだってジュンのことを気にかけていたから」

 その声が、言葉が、どんなに優しそうでも、さっきのパパの表情とため息が、頭にこびりついて離れなかった。

「夢じゃ、ない……よ」

 急速に自分の中の自信がしぼんでいくのを感じる。昨日の夜、わたしはアンの「気配」を感じ取っただけで、本人を見たわけじゃなかった。

 うなだれたわたしに、「ジュン」とママが優しい声で話しかけてくる。

「アンはね、昨日の夕方に亡くなったの。ママもパパも、これがうそだったらどんなにいいだろうって思っている。でも、これは現実なの」

「そんな……アンが、急に死んじゃうなんて……あんなに元気そうだったのに……もう会えないってこと?信じられない……」

 ミナがショックで声を震わせるのに、パパとママは神妙な顔をしてうなずく。これこそが、「正しい反応」だって暗に言われている気がした。

 両手のこぶしを握りしめて、奥歯をかみしめる。いまにも思考がショートしそうだった。

 アンが死んだなんて、ぜったい……うそだ。

 これもまた、アンの思いついた『楽しいこと』のひとつなんだ。きっといまにもダイニングのドアが開いて、「おどろいた?」とか言いながら、笑顔のアンが飛びこんでくるはず。

 でも、どんなに待っても、アンは現れない。

(ほんとうに、アンはいなくなっちゃったの?)

 その瞬間。

 家の外で、雨が降りはじめた。

――強い雨が。

 あまりの騒音に、わたしは両手で耳をふさいだ。

 でも、雨音は遠ざかるどころか悪化する一方だった。

 どうして? と不思議に思った矢先に気がつく。この音は、わたしの頭の中から聞こえてるんだ。だからミナも、パパもママも、この音が聞こえていない。

 ザアザアザアザア。

 自分の身体の中から生まれた嵐に、いまにも引きずり込まれそうになる。

 ザアザアザアザア。

 雨音と暴風に、飲みこまれそうになる。

 逃げないと。

 いますぐ、どこかに逃げないと――。

 バタン、と背後でなにかが倒れる音がした。座っていた椅子だった。

 パパやママがなにか言うのが聞こえるけれど、くぐもった音の塊があるだけで、なにを言っているのかほとんど理解はできなかった。ただ、ここから逃げ出したい一心で、ダイニングを飛び出す。

 廊下を走って、目についた部屋のドアを開け放った。

 マットレスに飛びこんでタオルケットをかぶり、身体を丸めた。

 ごうごうと激しい濁流の音が聞こえる。

 どこか遠くで稲妻が鳴っている。

 体の上を吹き荒れる激しい嵐に耐えようと、ちいさく折りたたんだ手足にぎゅっと力をこめる。きつく奥歯をかみしめると、目や鼻から流れこんできたなにかの塩辛い味がした。

――アンが死んだなんて、うそにきまっている!

 タオルケットの中で、わたしは声もなくそう叫んだ。

――うそだ――ぜったいに、うそにきまっている。

 だって、そんなの、この世界でいちばん起こっちゃいけないできごとだ。

 つい一ヶ月前だって、十三歳の誕生日祝いだと言って、アンはわたしがほしがっていた携帯端末をプレゼントしてくれたのに。

 枕元にあったそれをつかんで、ぎゅっと抱きしめる。

 アン。

 大好きな、アン。

 どうして、いなくなっちゃったの?

 世界でいちばん大好きな人がいきなりいなくなったと言われて、わたしはどうしたらいいのかわからない。

 だって、アンは世界でいちばん、わたしを理解してくれる人。

 わたしの、ヒーローだったのに。

 

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