新しい"うた"を歌おう

2021年7月、シェアハウスひびうたが誕生した。

縁あって一軒家を活用する形で、4人が共同で生活する障害のある人のグループホーム(共同生活援助)を開始した。

 

2023年8月、シェアハウスひびうたは一旦幕を閉じた。

一人暮らしへのニーズの高まりや、入居者の入れ替わりによる影響の受けやすさといった課題があった。

 

2023年9月、マイハウスひびうたが誕生した。

障害のある人の一人暮らしを支えるために、それぞれの家庭にヘルパー派遣(居宅介護)を開始した。

 

2024年6月、マイハウスひびうたは一旦幕を閉じた。

ヘルパーに向いているスタッフがいても有資格でないことや、短時間のシフトの組みにくさといった課題があった。

 

これらの障害者総合支援法という国の制度を使ったサービス(フォーマル)以外にも、会社独自のサービス(インフォーマル)として【ひびうた利用者宅制度】の運用を2022年3月から始めた。この独自サービスにより、国の制度では叶わなかった共同生活からの一人暮らしができるようになった。さらに2022年9月には【ひびうた利用者宅制度】を改訂し、親元で暮らしていた人でも、ひびうたに通うという条件を満たせば一人暮らしができるようになった。この制度は、不動産会社と私たち法人が賃貸契約を結び、障害のある人が賃貸物件に入居する形になっていて、入居者に障害があることをオープンにしている。なぜこのような制度を独自に運用するようになったかというと、障害のある人が不動産契約を結ぶのが困難であることが多いからだ。障害年金を受給し、就労支援を受けながら働いている人の収入が20万円を超えている場合でも、契約の門は簡単には開かないのが現状である。不動産会社や大家さんの障害に対する理解、雇用契約を結んでいなければならないといった条件、家賃保障会社の審査基準などのハードルがある。では、障害のある人が一人暮らしがしたいと思ったときに、階段を一段ずつ上るようにまず就職し、安定した収入を得て、社会的な信用を勝ち取らなければならないのか。そうは思わない。このステップアップの論理が、どれだけの障害のある人の自信を砕き、夢を諦めさせてきたかを目の当たりにしてきたからだ。障害のある側が階段を上がる力をつけるのではなく、支援する側が力をつけて階段を取り除くことができれば、エレベーターのように行きたい目的地にボタン一つで辿り着くことができる。入居者からは不動産契約に係る費用と家賃、各種更新手数料のみを支払ってもらっている。一人の利用から始まったこのサービスは、これまでに10人以上が利用し、現在も利用し続けている人もいる。課題としては、無償で運営していることから、利用する人が増えたことによる不動産契約や家選び、暮らし始めてからの支援等を一人で対応していたため、暮らしを支える継続性に欠けることや、利用する人にとっては実費を負担できる能力が必要なこと、ひびうたに通わなければ利用できないこと、支援してほしいと思っても無償で来てもらうのを遠慮することなどがあった。

 

2025年3月、シェアハウスひびうたが新しく誕生した。

これまで暮らしを支えるなかで直面した課題の解消を目指して、アパート型で障害のある人のグループホームを開始した。

 

障がいのある人のグループホームの種類は、介護サービス包括型、外部サービス利用型、日中活動サービス型、サテライト型の4つに分けられる。介護サービス利用型は自前のヘルパーが共同で生活する入居者の暮らしを支え、外部サービス利用型は外部のヘルパーが共同で生活する入居者の暮らしを支え、日中活動サービス型は自前のヘルパーが日中活動と暮らしを同じ建物内で支え、サテライト型は自前のヘルパーが単身で生活する入居者の暮らしを支えるといった仕組みになっている。シェアハウスひびうたは介護サービス包括型とサテライト型の2つで運営することになった。共同か単身かの形態と一緒に暮らす人を選べることになり、入居者の入れ替わりによる影響を受けることが少なくなった。資格者でなくてもヘルパーが向いている人が従事できるようになり、他の仕事と兼務することでシフトを組みやすくなった。さらに今後は障害のある人同士で助け合うピアサポート制度を導入するといった、就労支援の新たな可能性が開かれた。入居者は前年度の所得に応じて家賃補助が支給されることや、家賃を定員数で割れること、1食200円で食事配達サービス(ひびうた食堂)が利用できること等により、実費負担を軽減できるようになった。独自の制度(インフォーマル)ではなく国の制度(フォーマル)になったことで、家選びから賃貸契約、支援等を継続的にチームで運営できるようになった。ある入居者は以前なら遠慮して家族にサポートを求める場面でも、ヘルパーに助けを求めることができるようになった。このように、これまでの課題を解消してはいるが、これからも新しい課題が次々と出てくるだろう。それでも、目の前の一人の困りごとに耳を傾け、暮らす場所から、暮らし続ける場所へと深化させていく。

 

2025年3月1日、夜明け。

 

いつもより早く目が覚めると、窓の外には太陽が昇り始めていた。

普段は何気ない緑が広がる野原に、霧のような雲が一面を覆っていた。

まるで上空の飛行機の車内から、地上を見下ろしているかのようだった。

 

新しい太陽が昇った。 

もう古い“うた”は聞こえない。

 

雲を突き抜け大空へ。

悩みという風を受けて新しく飛び立つとき、見たことのない景色が目の前に広がる。

 

さぁ新しい“うた”を歌おう。

 

 

2025年3月8日

代表 大東悠二

 

 

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コメント: 1
  • #1

    中野ミツヨ (日曜日, 09 3月 2025 10:50)

    ひとりのこまりごとを聴くとのこと
    家族だと
    それがいつしかどこかで どこかで蓋をして
    いたのが
    少し動いて
    出逢う人びとの
    関係で少しふたが外れ新しい風入りそこから
    新たな景色を感じ始めた
    息子が♥♥
    ありがとうございます♥